中国の ご 方言のことじゃなーんで


ここは、いわゆる広島弁の中でも呉地域の方言を集めたものです。胤森弘が書き残した
「呉方言50年の衰微」から使用例を抜粋し、私が方言を喋り 内容を補足しました。
「呉方言50年の衰微」とは記述での注意点著者・胤森弘と私呉方言の特徴

あ行か行た行な行は行ま行や行ら行ワ/ン

  整理番号|呉方言('は強アクセント)|共通語で意味|資料記号|現代の使用頻度 A:知らない ~ C:よく使う

377
ザイタ
床板
 
HZ
A
ザイタガ ヌケルケー アラビナヤー
床板が 落ちるから(座がぬけるから) 暴れるなよ
補足:
字で書けば「座板」。床のことを「ザ」ということはよくある。
378
サエン
なさけない、つまらない
 
ZGFN
C
トートー サエンコトニ ナリマシタ
とうとう なさけなく なりました(死亡)
キョーワ サエンケー ハヨー ネルド
今日は つまらないから はやく 寝るぞ
補足:
寂しさの漂う言葉。ただ、「つまらない」の意味なら「ショーモナイ/ショーモナー」もよく使った。
379
サカシ
逆さま
 
SFKN
B
サカサニ シテモ デヤーセンヨー
逆さまに しても 出てはこないよ
380
サカシ'
かしこい
 
MHZ
A
コンナー ナカナカ サカシーコ ジャノー
この子は なかなか かしこい子 だねえ
参考:
広辞苑に「さかし[賢し]:かしこい」とある。
381
サカムゲ
ささくれ、逆剥げ
 
SZF
C
ユビガ サカムゲニナッテ イタイコトガ
指が 逆剥げになって 痛いよ
参考:
広辞苑に「さかむげ:爪ぎわの皮膚が荒れて逆さにむけること」とある。
949
サカロー
刃向かう
 
S
アイツニ サカローテモ カチメワ ナイヨ
あいつに 刃向かっても 勝目は ないよ
996
サキ'ーサキ'
先へ先へ
 
ソガニ サキーサキー イッタラ ワカランヨーニ ナルデ
そんなに 先へ先へ 行くと わからなく なるぞ
382
サキット
とがった先
 
SFN
B
サキットデ ツツイテ ミーヤー
とがった先で つついてみろよ
補足:
共通語の「さきっぽ」だろう。尖(と)がっていなくても、単に「先端」ではなかろうか?
383
サクレル
ふざける
 
SFN
A
ココデ サクレチャー いけんよ
ここで ふざけては いけないよ
384
サゲ''
手で持つ、持ち上げる
 
SK
C
コッチュー サゲテ クレーヤー
こっちを もって くれよ
補足:
サゲ'ルは下におろすことで、こちらのイントネーションでは場合によって持ち上げることで「上げる」となり、逆の意味になる。字では「下げる」ではなく「提げる」のこと。
950
ササゲル
子供を抱えて用便をさせる動作
 
SH
ハヨー ササゲテ ヤレーヤー、 モラスド
はやく 子供をかかえて用便させてやれよ、 漏らすぞ
385
ササラモサラ
全然だめ
 
KIHFN
A
イチンチジュー ササラモサラ ジャッタ
一日中 全然だめ だった
補足:
全国のあちこちにある方言で、意味は概ね「むちゃくちゃ」。広島のヤクザ用語でもその意味で使われていた。
386
サシゲタ
高下駄(たかげた)、雨下駄
 
SMHZ
A
サシゲター ハイトルガ コロゲナヨ
高下駄を はいているが ころげるなよ
補足:
下駄の構造上、下のハマ(土に接する部分)が一体ではなく、別の板状を差し込んでいることからきた。
387
サシクル
まぎらしている、ごまかす
 
SF
A
ソリャー サシクッテ キタンジャローガ
それは まぎらして とってきたのだろう
参考:
全方辞に「人の良い品物と自分の悪い品物を取り替える」とある。
388
サシヅメ
さしあたり
 
M
B
サシズメ コリョーアゲトコー
さしあたり これを あげておきましょう
補足:
同意に「サシムキ」もあります。類似に「タチマチ」(とりあえず)があるのだが、いずれも取り上げていない。
389
サデクリステル
かなぐりすてる
 
A
ソー ナニモカモ サデクリステナヨ
そう なにもかも かなぐりすてなよ
補足:
用例に「ソガニ ナンモカンモ ザデクリマースナヤ」というのもいいのでは。
390
サデル
かきあつめる
 
SMKZGFN
A
サデアツメテモ コレダケシカナーヨ
かき集めても これだけしかないよ
391
サネ
果物のたね
 
SHZN
A
ソノ カキャー サネガ ヨーケアルデ
その 柿は タネが たくさんあるぞ
補足:
『モモ、カキのような、わりに大きなものをいい、ブドウのような小さいものには、あまりいわないようで
ある』と記してある。「さね」は本来は種ではなく実(み)のことだ。(用例は私が書いた)
392
サバク
散らかす
 
SHKFN
C
アンマリ サバクナヤー
あまり ちらかさないでくれ
補足:
「魚をさばく」の「さばく」と根っこは同じ言葉「捌く」だが、散らかすことに使われている。
類似:700「バラク」
393
サバ'
すがりつく
 
SMHKZGFN
A
ソガニ サバリツクナヤー
そんなに すがりつかないでくれよ
394
サブイ
寒い
 
SMHK
C
コトシャー ヒドー サブイノー
今年は ひどく さむいねえ
同意:397「サミー」
395
サベシー
さみしい
 
SMH
B
アノ サベシーミチオ ヒトリデキタンカ
あの さびしい道を ひとりで来たのか
396
ザマクル
かっこう、様子
 
HK
B
ザマクレガ ワルーテノー
格好が 悪くてねえ
397
サミ'
さむい
 
MH
B
サミー サミー ユーナヨ、 ワシマデ サムーナラー
さむい さむいと 言うなよ、わしまで 寒くなるよ
補足:
「サミー」は備後地域の方の発音だろうに。安芸地域はもっぱら394「サブイ」。
398
サルシ
晒布(さらし)
 
MH
A
サルシュー マイテトキャー エエガ
晒布を 巻いておけば よいよ
951
サンダンスル
都合する、工面する
 
SH
ヤッテホシケリャー ソッチガ サンダンセーヨ
してほしいのだったら そちらの方で 都合しろよ
952
サンニュー
計算
 
S
ソンセンヨーニ ヨー サンニューセーヨ
損をしないように よく 計算をしろよ